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■三田歌舞伎2008年7月号 No.3  田中俊雄 会員(1967年卒)による寄稿文

“歌舞伎”を初見した頃 

一九六七年(昭和四十二年)卒
田中 俊雄

 歌舞伎を観る場所といえば,我々関東在住の者は,東京・銀座というよりは,“木挽町”の歌舞伎座である。

 今年は築 百二十年 とかで,建て替えの噂の真っ只中といったところである。

 さて,私が“歌舞伎”というものを初見した記憶があるのは,昭和二十三〜二十四年(一九四八〜四九年)のことで,おん年四,五歳の頃であった。

 銀座の町を四丁目の方から通り抜けた,築地川に架かる橋の袂にあった,“東劇”で歌舞伎を観たのである。当時はまた歌舞伎座が戦災から復興できていなかったためである。(昭和二十六年に歌舞伎座復興)

 出し物は,碇を体に巻きつけたお侍(多分義経千本桜の知盛)の芝居と,頭巾を被ったお爺さんの踊りが記憶に残っている。

 小さな体のお爺さんが,実に楽しそうに踊りを踊っていたのを覚えている。今にして思えば七代目三津五郎の“傀儡師”であったのだろう。

 昨年の末廣会(当代三津五郎の後援会)の新年会で,当代の大和屋に話したが,ただ苦笑されてしまった。

 私も気がつけば還暦を通り越して今年は六十四才,なんと六十年も歌舞伎を見続けてきたわけである。いやはや!!


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